「人のためになる仕事がしたい」そう思って
必死に勉強して、つらい実習を乗り越えて、国家資格を取った。
安定もやりがいも、どっちも手に入ると思ってたのに現実は違った…。
こんな思いをするなら、歯科衛生士にならなきゃよかった。
「歯科衛生士に、ならなきゃよかった」
そんなふうに思ってしまう自分に、罪悪感を抱えていませんか?
- 職場の人間関係はうまくいかないし、
怒られてばかりで、自分がどんどん小さくなっていくような気がする。 - 楽しそうに働いている別の職業に就いた友達が、うらやましい。
- 転職サイトも見てみたけど、条件はあまり変わらない。
このまま他の医院に行ったって、また同じ思いをするのかも…。
そんなふうに思ったとき、「そもそも、歯科衛生士になんてならなきゃよかった」という言葉が浮かんでくることがありますよね。
私も、そんな気持ちを抱えていた一人です。
歯科衛生士として働いた10年間で4回転職しました。
さまざまな医院で働いてみて気がついたのは、職場によってやりがいや働きやすさが大きく変わるということです。
転職に対してのお悩みを抱えている人は、ぜひ私の経験を参考にしていただければと思います。
そんな私ですが、実は今は歯科衛生士として現場で働くことから離れ、別の道を歩んでいます。
そして、一度離れたからこそ思うのは、「歯科衛生士を選んだことは間違いじゃなかった」ということ。
だからこそ、この記事では、今「歯科衛生士にならなきゃよかった」と悩んでいるあなたに、そこから少しでも前を向くためのヒントをお伝えしたいと思います。
よろしければ、最後まで読んでみてくださいね。
歯科衛生士にならなきゃよかったと思ってしまうきっかけとは?

今の職場を辞めたい。歯科衛生士の抱える悩み
歯科衛生士として働いていると、「もう辞めたい!」と思うことたくさんありますよね。
歯科衛生士の抱える職場の悩みとは?
・院長から毎日のように怒られる。合わないと感じる
・女性ばかりの職場で、人間関係がギスギスしている
・給料が安い。上がらない
・毎日が単調で、やりがいがない
・拘束時間が長くて、休みが取りにくい。プライベートとの両立ができない
こうした状況が続き、「この職場はもう無理かもしれない」と転職をする人が多いんです。
実際、歯科衛生士の離職率は高く、約76%が転職を経験していて、その半数以上が複数回の転職をしているという調査もあります(※日本歯科衛生士会調べ)。
職場のつらさを感じているのは、あなただけではありません。
どうしても働きにくければ、転職という選択をしてもいいんです。
退職しても変わらない?歯科医院全体が抱える働きにくさ
転職を考えて、求人を見てみると、どこも似たような条件。
給料も、勤務時間も、大きな違いはない。
「場所を変えても、また同じようなことで悩むんじゃないか…」
そんな不安が出てきますよね。
もちろん全ての医院が同じではないのですが、職場を変えても業界そのものが持っている問題は変わらない部分もあります。
個人経営の医院が多く、給料や福利厚生が充実していない医院がほとんど。
子育てなどのライフステージの変化に対応できないことが多いのです。
人間関係も閉鎖的になりがちで、院長やスタッフ間でトラブルがないとも言い切れません。
そんな理由から、多くの歯科衛生士が、働き続けることの難しさを感じていまうのです。
歯科衛生士の資格は価値がない?「ならなきゃよかった」と思ってしまった私の話

「どこの医院でも変わらないなら、もう辞めたい」
「こんなに働きにくい職業だったなんて…」
そんな思いが積み重なったとき、「歯科衛生士って、そもそも価値のある資格なんだろうか?」という考えが頭をよぎったことがあります。
「手に職があれば安定」「歯科医院も多いし困らない」と思って資格を取りました。
実際、最初の頃は周りの友達より給料もよくて、「歯科衛生士を選んでよかった」って思ってました。
でも、何年か経つと、周りの友人たちは昇給やキャリアアップで年収が上がっていくのに、自分の収入は横ばいのまま。ボーナスもほとんどもらえず…。
大学を出て会社員になった友達や、看護師のような別の国家資格と比べてしまって。
正直、コンプレックスも感じてました。
それでも、辞められなかったのは、歯科医院という世界しか知らない自分が、今さら他の仕事なんてできるわけないと思っていたからです。
専門卒だし、社会人として通用するスキルもないし…。
なにより、頑張って取った資格を、手放すのがすごく悔しかったんです。
辞めたい。でも、辞めたくない。
ぐちゃぐちゃになった感情の中で、ふと出てきたのが、
「歯科衛生士になんて、ならなきゃよかった」という言葉でした。
そんなふうに思っていた私は、思い切って転職することにしました。
正直、条件が劇的に良くなったわけじゃありません。
でも、院長との距離感や職場の空気が前よりもずっと穏やかで、予防歯科だったので仕事のやりがいもありました。
「歯科衛生士の仕事そのものがイヤだったわけじゃなかったのかもしれない」
そう思えるようになったのは、この転職先での時間があったからです。
すべての不安が消えたわけじゃないし、そのあと妊娠をきっかけに退職したけれど、
少なくともその数年間は、「歯科衛生士の仕事が好き」と思える大事な時期でした。
歯科衛生士を辞めたいのかわからなくなったときに、考えてほしいこと

「歯科衛生士向いてないのかも」「もう無理かも」
そんな気持ちになると、すべてを辞めたくなることがあります。
でも、ちょっとだけ立ち止まって考えてみてほしいんです。
「仕事が嫌い」なのか、「今の職場」がつらいだけなのか?
「仕事を辞めたい」には、2種類あります。
- 業務自体は好きだけど、職場の環境や家庭との両立がつらい
- 今の業界自体が、自分には向いてなかったと思う
あなたはどちらですか?
本当に歯科衛生士の仕事そのものが嫌なのか、一緒に考えてみてください。
・職場の人間関係が嫌
・給料や評価が低く、頑張っても報われないのがつらい
・プライベートを考えたときに、仕事の負担が大きい
・仕事にやりがいを感じない
そんなときは、職場を変えることで解決するかもしれません。
私も何度も転職したけど、それでよかったと思っている話
先ほどもお話しましたが、私は歯科衛生士として4つの医院で働いてきました。
実は、プライベートな理由もあるのですべての医院が嫌になって辞めたわけではないのですが、医院によって環境や働きやすさの違いを感じました。
たとえば、人間関係や仕事のやりがいは大きく変わります。
私は、審美・一般・訪問・予防とさまざまな医院で働きました。
同じ歯科衛生士でも、医院の方針や雰囲気がまったく違って、
まるで違う職種かと思うくらいのギャップを感じることもありました。
もし、あなたが今抱えている悩みが転職により解決する可能性があるのなら、歯科衛生士を辞める前にもう一度別の医院を選んでみてもいいかもしれません。
転職回数が増えるのが不安。そんな気持ちもありますよね。
でも、実際はそんなことありませんでした。
歯科業界は、どこも人手不足。
ブランクがあっても、転職回数が多くても、人柄や意欲を見てもらえることが多いです。
「もうここしかない」「辞めたら終わり」じゃなくて、何度でもやり直していい。
実は、それも歯科衛生士の魅力でもあります。
歯科医院以外の道。働き方の選択肢はひとつじゃない

「歯科衛生士=歯科医院で働くもの」
そう思っていませんか?
実際、多くの人が卒業後に個人経営の歯科医院へ就職します。
私自身も、最初はそれが当たり前だと思っていました。
でも実は、歯科衛生士の資格を活かせる働き方は、歯科医院だけではありません。
歯科医院だけじゃない!歯科衛生士の活躍の場はこんなにある
歯科医院以外の選択肢は、たとえば…
・企業内歯科
・審美・ホワイトニング専門のサロン
・歯科関連メーカー
・保健所・保健センターでの保健指導
・学校や施設での訪問口腔ケア
などなど、実はこんなにもバリエーションがあります。
私自身も、美容外科内の審美歯科で勤務したこともあり、福利厚生の充実など、個人の歯科医院との違いを感じました。
時間も場所も自由に。歯科衛生士の新しい働き方
一般歯科以外の選択肢は、地域によっては求人自体が限られていることもありますよね。
そこで、場所だけじゃなく、働き方の形を見直すという選択もあります。
たとえば…
・パートや時短勤務で働きやすさを優先する
・フリーランス衛生士としてスポット勤務をする
・他の仕事との複業や副業で自分のペースを保つ
・在宅ワークや自宅サロンをする
実は私も、妊娠を機に現場を離れ、現在しているのが、在宅ワークです。
歯科衛生士の知識を活かしてライティングやSNSの投稿作成のお仕事をしています。
現場に立たなくても、資格が活かせることってあるんです。
在宅ワークなら自由な時間に働けて、子育てとの両立がしやすいと感じています。
興味のある方は、こちらの記事もチェックしてくださいね。
今すぐ行動しなくても大丈夫。
でも、こんな選択肢もあるって知っているだけで、心の余裕が少し増えるかもしれません。
「歯科衛生士にならなきゃよかった」と思うあなたに伝えたいこと

歯科衛生士資格の本当の価値
これからの時代、「さまざまな仕事がAIによって必要なくなる」と言われています。
でも、歯科衛生士の仕事は、機械では置き換えられない仕事です。
また、これからの医療は「治療」よりも「予防」が重要になります。
歯科衛生士の需要はこれからもっと高まるのではないでしょうか。
実際に、海外では歯科衛生士は「予防のプロ」として価値のある仕事とされています。
日本で、歯科衛生士に対する見方が変わるかはわかりませんが、
「私たちの仕事は価値のある仕事だ」ということは、間違いありません。
さらに、少子高齢化の進む日本においては、
高齢者の口腔ケアや訪問歯科の需要も確実に増えていきます。
あまり実感はないかもしれませんが、歯科衛生士はこれからの時代に求められる仕事だと思います。
歯科衛生士という資格があることが、いつか自分を助けてくれる
「今の職場がつらい」「もう無理かも」と感じたとき、
「じゃあ、この資格はもう必要ないのかな…」とまで思ってしまうかもしれません。
でも、歯科衛生士の資格は、ずっと使い続けなきゃいけないものじゃないんです。
それって、意外とすごいことなんじゃないかなと私は思っています。
歯科衛生士は、全国にたくさんの職場があって、再スタートもしやすい。
結婚や出産、ライフスタイルが変わっても、また働ける場所がある。
今使わなくてもいい。一度離れてもいい。
捨てても、また戻れる場所がある。
それって、本当に大きな価値だと思っています。
さいごに:辞めてもいい。続けてもいい。どちらも間違いじゃない

「歯科衛生士にならなきゃよかった」
そんなふうに思ってしまったことも、決して悪いことじゃありません。
それだけ、あなたがこの仕事と真剣に向き合ってきた証拠です。
辞めたっていい。続けたっていい。
どちらを選んでも、それはあなたにとって必要な選択だったんだと思える日が来ます。
この記事が、少しでもその気づきのきっかけになれば嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
なぜ私が歯科衛生士を辞めて在宅ワークに挑戦しているのか?はこちらから